【なぜ、子どもたちにマッサージが必要なの?】

リハビリを「がんばる」まえに・・・

子どもたちには下準備が必要です!

 

赤ちゃんの脳には、まだ自分の意思で体を動かすプログラムがない!

生まれたばかりの赤ちゃんは、視力や聴力の感覚、脳の神経回路もまだまだ未熟で、自分の体がどうなっているか、手がある、足があるということすらよくわかっていません。

 自分でできることは本能的に備わった呼吸、排泄、眠る、泣く、吸う、生きるために必要な最低限の反射的な動作のみです。生まれたての赤ちゃんは、それ以外の脳のプログラム(脳神経回路)がまだ作られていないのです。

 

こうしたプログラムは、様々な刺激や体験を通じて作れていきます。体験した刺激は脳に情報として伝わり、その刺激がどんなものか記憶し、繰り返し受けた刺激は過去のデータに基づいて身体に指令を出します。その結果の体の動作を、再び感じ取り脳にフィードバックします。このプロセスを繰り返すことで、脳のプログラムは発達(学習)していくのです。

つまり、脳が発達(学習)していくには、視覚、聴覚、皮膚感覚、深部感覚(身体の内側の状態を感じ取る、筋肉・腱・関節にある感覚)に刺激を与え、身体のセンサーをうまく働かせることが重要です。

 

まずは脳のプログラム発達を促す身体のセンサーを鍛えることが大切!

一方で、脳性麻痺・PVLなどの子供たちの多くは脳の神経細胞に損傷があり、感覚障害を併せ持っています。視力が弱い、深部感覚が鈍いなどです。また、逆に刺激への反応が過敏になってしまう場合もあります。

脳神経細胞が損傷を受けると、その部位の神経細胞は弱まったり、死滅したり、あるいは異常な興奮をするようになったりします。すると、心臓の不整脈のように、自分の意思とは関係なく異常なシグナルを不規則に発信し、他の脳細胞や神経回路を攪乱させ、その結果、てんかん発作や感覚障害、学習障害、筋肉の過緊張や脳の機能低下を引き起こしてしまいます。

そのような状態では脳の学習プログラムのプロセスに問題が生じてしまいます。運動や動作の訓練よりも、まずは身体のセンサーを鍛え、脳が発達(学習)しやすいよう下準備を整えていくことが大切なのです。

本来、脳の指令によって緊張と弛緩を繰り返しながら体の様々なバランスをとることが、脳の発達(学習)にとって大切なのですが、脳性麻痺の子どもの多くが、脳の障がいによる異常なシグナルによって手足の筋肉がガチガチに緊張してしまい、関節も固くなってしまっています。こうした筋緊張の強い子どもたちは、身体が成長するにつれ筋肉と骨のバランスが崩れ、脊柱の側弯や股関節の脱臼を起こしやすくなります。ところが、医学的なリハビリでは動作や運動に焦点が当てられているため、脳の障がいによって緊張した筋肉をさらに緊張させる動作が多くなります。筋肉が硬く緊張したままではスムーズに身体を動かせませんし、無理に動かせば怪我にもつながります。また、訓練によってもしある動作ができるようになったとしても、筋肉が緊張したまま体を動かす不自然な動作を学習してしまいます。ですから、緊張の強い子の場合、まずは筋肉を緩めて、動かしやすい状態にしておくことが大切です。
リハビリだけでは効果を感じにくいのには原因がありました。脳に障がいを持つ子どもたちの場合、リハビリで動作や運動の訓練を始める前に、脳や身体の状態を整えて、下準備をしておかなければいけないのです。筋肉の緊張をゆるめたり、身体のセンサーや脳での情報の処理をうまくできるように整えておく必要があるのです。GLITTER式®マッサージは、小児障がい児のために考案された、脳の発達(学習)の下準備をする為の施術方法です。いわば身体の土台づくり。GITTER式®マッサージで地道に土台をつくりながらリハビリに取り組むことで、学習の効率が上がり、相乗効果も期待できるのです。実際、幼い頃からマッサージを行なってきた子とそうでない子を比べると、予後に大きな差が生まれています。子どもたちの中に眠った大きな可能性を引き出すためにも、リハビリだけでなくマッサージも併用することがとても重要なのです。

小児障がい児のための医療マッサージ
【GLITTER式®マッサージ】

脳内マップの構築】

GLITTER式®プログラムの中でも、身体の土台作りとしてベースとなる医療マッサージ。

一般的なマッサージでは、疲労やコリなどによって硬くなった筋肉そのものをほぐし、正常な状態へ戻すことに重点が置かれています。しかし、脳性麻痺などの子どもたちの緊張は、疲労やコリによるものではありません。体の感覚が鈍かったり、脳での処理・指令がうまくいかないせいで筋肉を制御できていないのです。そのため、単に筋肉をほぐしたり、体を動かしたりするだけでは効果をなかなか出せません。小児障がい児専用に開発されたGLITTER式®マッサージは、筋肉を緩めたり緊張させたりするだけでなく、マッサージの刺激を利用して触覚や深部覚などを通じて脳を刺激し、脳内マップ(脳が持つ体のイメージ)作りを促していきます。麻痺や筋緊張で正常な運動獲得が阻害されている子どもたちに、筋肉が脱力したり緊張したりする状態を何度も体験させることで 脳が新しい回路を作り、自分でも出来るようにしていくのです。

 

GLITTER式®マッサージの手順】

一般的なマッサージが筋肉そのものや関節にアプローチしていくのに対し、GLITTER式®マッサージの特徴的な考え方として「脳へのアプローチ」があげられます。近年の研究によって、正しい手順と方法で脳にアプローチしていけば、脳の一部を損傷しても、学習によって失った能力・機能は再生できる可能性があることがわかってきました(脳の可塑性)。脳細胞の損傷によって失った脳の機能を取り戻すためには、眠ってしまった神経回路を呼び覚ましたり、新たな回路を作ったりしなければいけません。そしてそのためには、以下のような段階を経る必要があると言われています。
STEP1 筋肉の緊張を緩める
脳性麻痺など脳に障がいのある子どもたちの多くが、筋肉が硬く突っ張ったような状態になってしまいす。通常、脳からは筋肉を収縮させる信号と緩める信号が出され、必要に応じて力を入れたり緩めたりを繰り返しています。ですが、脳に損傷を受けるとその信号のバランスが崩れ、筋肉がずっと緊張してしまっているのです。この、オン・オフの信号のバランスが崩れて筋肉が硬くこわばったままでは、脳が筋肉の繊細な変化をうまく感じ取れないため学習が進みません。ですから、まずは筋肉の緊張を和らげることが大切です。GLITTER式マッサージでは、緊張を緩める手技を中心として、心理的にリラックスできる環境、脱力できる姿勢、心地よい刺激、手足の血行の改善、施術部位への意識の集中、緩んだイメージの伝播、緩んだ状態の反復経験など、脳へのアプローチに着目した施術を行います。

STEP2 眠っている神経に刺激を与える
GLITTER式マッサージ®によって、皮膚感覚や深部感覚(筋肉や腱、関節にある感覚)を中心に、視覚や聴覚にも働きかけていきます。休眠状態になっている脳の神経回路を刺激し、神経細胞に血液を送り込んでいきます。

STEP3 脳をリラックスさせて、回復モードに
損傷した脳の神経細胞から不規則な信号が発さられることで、脳が混乱・撹乱して、無感覚(麻痺)や鈍感、神経過敏といった感覚障がいを起こすようになります。GLITTER式マッサージ®などによって副交感神経を優位にしたり、脳幹(網様体賦活系)の働きを正常化したりすることで、興奮した神経を抑えて脳のノイズを鎮めます。また、脳内の老廃物や毒素の除去は、脳の85%を占めるグリア細胞が担当しています。この細胞は睡眠中に10倍活動的になるため、マッサージによって睡眠の質を向上させることで、脳を回復しやすくしていきます。

STEP4 脳内マップを作る
その子に合わせた適切な刺激を与え続けつつ、同時に脳もリラックスさせることで、うまく脳が感覚情報を処理できるようにしていきます。そうすることで、脳の中にある身体の各部位に対応する脳内マップや、脳の持つボディーイメージを作り上げて、今どこを刺激されているのか、自分の身体がどうなっているのかを認識できるようにしていきます。
【所要時間・料金】

●開始可能月齢:生後6ヶ月ごろ~10歳ごろまで

●所要時間:20~25分(滞在30分程度)/回

●頻度の目安:週2回ぐらい

●料金:(保険適用・子ども医療費助成適用)

・月15回まで1000円(1回500円、月に2回分まで負担)

・保険の種類によっては償還払い(一旦全額:4300円/回をお支払いいただき、後にご自身で保険者に請求する方法)となることがあります。最終的な負担額は変わりません。

●健康保険・医療費助成を適用するには、医師の「同意書」が必要となります。

●訪問エリアについては、「訪問可能エリア」をご確認ください。

●対象となる疾患については「対象疾患について」をご確認ください。(記載されていない難病や疾患であっても、一度ご相談ください)

●保険適用についてより詳しくは「料金・健康保険」をご覧ください。

 

【発達障がいへの医療マッサージ】

 近年注目されている「発達障がい」にもGLITTER式マッサージ®は効果的であると報告があがっています。発達障がいを抱える子の多くは、聴覚や触覚などの刺激に過敏であることが多く、そのため、刺激から自分を守ろうと内側にこもったり、ストレスを感じやすく交感神経が興奮して頭の中が混乱したりしてしまいます。マッサージによって神経を落ち着かせて感覚を整えたり、幸せホルモンのオキシトシンを分泌したりすることで、心の平穏を取り戻し、コミュニケーション力を高めることが期待できるのです。

※ただし、発達遅滞などの運動発達障害がみられない場合、保険適用外となります。